絶滅危惧種と過去の大量絶滅

絶滅危惧種の割合

現在、絶滅の恐れがあると考えられている絶滅危惧種の数は、調査されたものだけでも1万7291種にのぼります(IUCNレッドリスト2009年版)。絶滅の恐れの度合いが評価されている種の数に対する絶滅危惧種の割合は、わたしたちの仲間である脊椎動物が22%、無脊椎動物は35%、植物は70%にもなります。

絶滅の恐れがある脊椎動物

絶滅の恐れがある無脊椎動物絶滅の恐れがある植物

現在、大量絶滅が進行中?

生物の絶滅は自然にも起こります。種の進化や淘汰の結果であるともいえます。一方、大きな環境の変化によって大量の絶滅が起きることもあり、過去にも5回の大量絶滅があったことが知られています。中でも、全生物種の約95%が絶滅したペルム紀末や、恐竜やアンモナイトが絶滅した白亜紀末が有名です。現在の絶滅は、自然現象による過去の絶滅と違うのでしょうか?

化石調査を基にした過去のデータと単純比較するのは科学的ではありませんが、参考として過去の大量絶滅と現在の絶滅危惧種の割合を比較すると、下のグラフのようになります。

過去の大量絶滅と現在の絶滅の比較
※過去の絶滅率は「マクロ進化と全生物の系統分類」より

全生物種の75〜95%が絶滅した過去の大量絶滅と比べても、現在はその半分程度の規模の絶滅が進行中と言えるかもしれません。現在の方が規模は小さいですが、これは大規模な火山活動が数十万年も続いたとか、直径10kmもの小天体が落下したと考えられているような事例との比較です。また、過去の大量絶滅では、減少した多様性が復旧するまでに2000万年から1億年もの長い時間がかかっていることからも、現在進行中の絶滅がいかに大きな問題であるかがわかると思います。

現在の絶滅が過去の絶滅と異なる点は2つあります。ひとつは、絶滅のスピードが全く異なることです。約1300人の世界の科学者がまとめたミレニアム生態系評価では、現在の絶滅のスピードは、過去の絶滅の平均速度の1000倍以上になっていると推測されています。

もうひとつは、過去の絶滅が自然の環境変化が原因だったのに対して、現在の絶滅は人間による環境破壊(生息地の破壊、乱獲、汚染、外来種の侵入、温暖化)が原因であるということです。

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